松ヶ崎の家 / 建築物実績

松ヶ崎の家

京都市北部に建つローコスト住宅

Region
京都府
Program
専用住宅
Structure
木造2階
SiteArea
110.03m²
BuiltArea
54.95m²
FloorArea
87.00m²
Completed
2010.4

Photo by Hiroyuki HIRAI

ローコスト住宅を総花的に作ってしまうと全ての面においてグレードが低いものの集積となり全体として貧相となるので、実現すべき項目に思い切った優先順位を付けることが重要である。
当建物では施主の「テントのように家族がワンルームに住んでも良い」という家族観を拠り所として、まず部屋数よりも、ボリュームの大きさを極大化する事に優先順位を置き、法規の許す最大ボリュームを予算内で高い性能を持たせて実現することを目標とした。但し、将来の対応も想定して、(セルフビルドで)区切ったり増設したりすることが可能となるよう工夫をしている。
具体的には柱ピッチを工夫して合板のそつを無くし、壁はその外側に設けている(外断熱による断熱欠損の防止)。長手方向の壁はほぼ外壁のみ、短手方向は構造壁のみである。また床は杉板3層張り合わせ30ミリのパネル(床倍率2.5)を梁間ごとに落とし込んでいる。これにより梁天端が床レベルとなるので、将来の床増設の際にも床レベルの調整をしなくても良い。室内側に出ている外周の柱の間には合板のつなぎ材も活用して棚受けとなるディテールを作り、施主が必要に応じて簡単に棚を追加する事を可能とした。高所窓を開閉する為のエキスパンドメタルのキャットウォークは床剛性のバランスをとる為の補剛材としても機能している。
空調の観点からはワンルームは気積の大きさが問題となるが、当建物ではカーテンにより気積を分割したり、最上部の空気を排出したり足元に戻したりできるような仕組みを設けて(高断熱と併せて)空調負荷を削減している。外部の鋼板は3種類の巾を持ったパネル(鋼板のハゼ成型は片側ずつ行うので巾を変えてもコストはそれほど変わらない)をイレギュラーに組み合わせることで外観に軽やかさを与えているが、同時にパネルの組み合わせによって全ての窓の外枠とハゼを揃えており、窓廻りの鋼板切り欠きという高コスト高リスクの加工を省いている。

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