上京のサービス付き高齢者住宅 / 建築物実績

上京のサービス付き高齢者住宅

京都、西陣地区での RC造5階建ビルの改修

Region
京都府
Program
集合住宅
Structure
RC造地上5階
SiteArea
207.98m²
BuiltArea
165.24m²
FloorArea
752.27m²
Completed
2016.3

Photo by Hiroyuki HIRAI

事務所+住宅からサービス付き高齢者住宅への用途変更を伴う改修。
・一つ屋根の下
階段/EVコアの位置関係から、基準階である3階4階では、居室を配置するとどうしても居室が共用部を取り囲む形となり、共用部(ホール)は無採光となってしまう。この「昼なお暗い」ホールを避けようと、また集合住宅が単なるユニットの寄せ集めではなく、共に住まう積極的な意味をもつ状況をつくり出す事を目的として欄間廻りの納まりが考えられている。
具体的には共用部と居室を分ける壁の欄間部分はガラスとし外周部からの光をホールに届けるとともに、住戸間の間仕切り壁等は欄間部分を鏡として、(実際にはそれほど連続していないのだが)、1フロア分連続した天井を皆が共有していると感じさせるようになっている。
・ユニットの広さ
現在建てられているほとんどのサ高住が補助金の最低基準である専有25㎡ギリギリでつくられているが、これは学生等が住むワンルームマンションの今日の標準的な専有面積であり、どうしても「仮住まい」の感が拭えず、サ高住がプログラム上で想定している「終の住処」としては不十分だと考えられる。本計画では全10室の中で私が「終の住処」として相当と考える40㎡のユニットを2室、さらに広い50㎡の部屋を1室設けている。
・改修という武器
上記の欄間採光や広めの3室、部屋ごとに全てプランが異なる事等々、いわば規格外の事ごとは改修にまつわる物理的、法規的な制約によって結果的に出来上がっている側面もある。勿論きちんと検討され/計画され/設計されているのだが、新築ではなく、改修故の制約の中だからこそできたことがあるのも一面の真実である。このことから改修の場合、既存建物の中で動かす事が出来ない事ごとをそこでしか出来ないものをつくり出せるポジティブな要素としてとらえることによって、豊かな環境を紡ぎだす事ができることがわかる。
既製の堅苦しいパッケージが溢れ逆に自由な計画行為が非常に行い難い今日、改修行為はこの状況に風穴をあける一つの武器となりえるのである。

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