中京まちや1 / 建築物実績

中京まちや1

都市中心部における町家の新築

Region
京都府
Program
専用住宅(まちや)
Structure
木造2階
SiteArea
107.47m²
BuiltArea
84.67m²
FloorArea
135.23m²
Completed
2012.12

Photo by Hiroyuki HIRAI

景観問題では、往々にして目指すべき像(モデル)が共有できていない事が問題となるが、京都の低層住居においては町家というモデルが存在しており、(好むか否かは別として)大多数の設計者や施主、一般市民に共有されていると考えられる。そこで当建物ではファサードについては設計者の自我を極力排し町家のプロトコルになるべく忠実に作る事とした。一方内部は施主のライフスタイルに合わせて特に伝統的な形にこだわらず設計をしている。とはいえ所謂「うなぎの寝床」の敷地で快適な空間を作ろうとすると伝統的な智恵が助けとなる事も多い。一例として、当建物では様々なトップライトを工夫して設けている。家に入って最初のトップライトが有る吹き抜けの玄関ホールは真白で外観の町家の雰囲気からモードを切り替える役目を果たしている。その吹き抜けにあいた各部屋の窓は各部屋に採光を配る役目とともに、ホールに各部屋の気配を伝える役目を持っている。また通風採光上の重要なハブである坪庭には、高木は紅葉一本、足元には石楠花がマウンド状に植えられている。これらの樹木の配置と坪庭に面する各部屋の開口部の位置の工夫により、部屋間の視線が見合いにならないようになっている他、同じ庭が各部屋の窓からは異なる風景として見えるように工夫されている。勿論、伝統的な町家形式には現代生活と齟齬をきたす部分もある。例えば町家の道路に面する部分(所謂店の間)の用途は現代の生活では見つけにくいし、自動車の無い時代の形式である町家にはそもそも駐車に対する解答が無い。当建物では店の間部分を駐車場とし、LDKと道路とのバッファーとすると同時に、LDKとの境を全開出来る建具とする事で、イベント時等には車は一時外に停めて、ガレージの扉を開けて外部に解放しかつての店の間のように使用する事も可能としている。

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