ガエまちや/ 建築物実績

ガエまちや

町家改修

Region
京都府
Program
専用住宅(まちや)
Structure
木造2階
SiteArea
75.6m²
BuiltArea
56.6m²
FloorArea
111.7m²
Completed
2011.4
Publications
新建築住宅特集2014.2

Photo by Hiroyuki HIRAI
Nacasa & Partners Inc. (Satoshi Shigeta)

一見した所、昭和40年代頃の建築かと思われた改修前の住宅。しかし2階の天井を一部解体したところ、梁に明治肆拾参年との文字があり、築約百年の建築である事が判明。その後昭和に入ってから(おそらく複数回の)改変を加えられている事が推断された。このような創建当初の姿をそのまま残している訳ではなく、時代の要求にあわせて改変を加えられてきた建物はまさに活きた民家(町家)であり、文化財的な価値を持つ町家とは異なるものの、また大きな価値を持っている。そしてそのような「まちや」を持続的に持ち続けるには、物理的な形は変えながらも「生活の遺伝子を伝える」ような改修のマナーが必要である。
今回、改修前の建物は1階LDKは暗く陰鬱で、2階にも窓の無い(即ち採光の無い)部屋が2つもあった。今回の改修では部屋の配置を工夫したり、トップライトを利用する等の工夫をして全居室に採光を確保している。一般に町家利用においてよく問題となるのが1階道路側の部屋、いわゆる「店の間」に何の機能をあてるか?であり、その「まちに近い」(逆に言えばプライバシーの低い)性質を有効に活用できる機能を割り当てられるどうかが、改修の成否を決めてしまう様なところががある。今回は施主の文筆業という職業柄もあり、アトリエや簡単な接客スペースの必要があることから、そのような機能をここに割り当てる事が出来た。形態意匠的には改修の場合、新築の設計では用いない様な形態意匠も改修では用いる事が出来るが(他者のつくった形は作家の「エゴ」を害しない)、この事は近代建築の限界を打ち破る可能性を感じさせるものである。

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