湖西邸宅 / 建築物実績

湖西の家

琵琶湖西部に建つ個人住宅。

Region
滋賀県
Program
専用住宅
Structure
木造2階
SiteArea
600.92m²
BuiltArea
187.06m²
FloorArea
291.19m²
Completed
2010.4

Photo by Hiroyuki HIRAI

敷地形状はほぼ正方形で4辺が東西南北軸からほぼ45度振れており、従って(ほぼ東方向にある)琵琶湖は対角線方向にある。また比良山系の麓にある敷地は(琵琶湖に向かって)上記の対角線方向30mで約1層分3mの高低差がある。建物内部の半階ずれた床構成や外部テラスの階段状の形態によってこの高低差を吸収して、緩やかに敷地形状に沿った内外空間のシークエンスを構成している。施主は琵琶湖への眺望を最大の価値の一つとして土地を購入しており、従って家全体を統合するのは琵琶湖へのViewであるが(一体感)、同時に建物内において各部屋の場所性をもたらすために(個別性)いくつかの仕組みを設けている。
敷地内の構成としては建物を3つのボリュームに分割し、その3つのボリュームが3つの外部(庭)を規定するようになっている。3つの外部はそれぞれ「琵琶湖へ緩やかに下りながらひらいて行く庭」、「比良山系側にひらくドライな車寄せ」、「2つのボリュームと隣戸に囲まれた閉じられた日本庭園(secret garden)」であり、それらの庭の景色や遠望する鎮守の杜等それぞれの部屋からのViewが各部屋の場所性を規定する。
施主は夫婦共働きで不在時間が長いことから、冷暖房は(長時間ゆっくり効いて効率の良い)蓄熱型ではなく、「立上がり」の早さが必要であり、空気を暖め/冷やす対流式空調(パッケージ型エアコン)を主とし、建築計画としては、空間の連続性は保ちながらも、気積が大きくなりすぎないよう空気を区切る仕組みを様々に設けている。加えて、敷地は「比叡颪」が吹き、冬期は厳しい寒さとなる事も考慮して構造形式は熱容量が小さく断熱性の高い木造として、外装材も木材(カラマツ)としている。リビングには冬期の輻射熱源として薪ストーブも設けている。

実績一覧に戻る