橋弁慶町立体駐車場
- Region
- 京都府
- Program
- タワーパーキング
- Structure
- S造
- SiteArea
- 159.78m²
- BuiltArea
- 68.89m²
- Completed
- 2003.12
Photo by Hiroyuki HIRAI
各地における景観訴訟の推移や、自治体における景観条例の制定等の動き、景観法の成立等をみれば、景観を「権利」としてとらえる社会的な合意が少しずつではあるが着実に進んでいると考えられる。しかし逆に言えば現在は都市景観の社会的認識における過渡的的状況であることから、建築物の建設等にあたって、様々に関与する人々の背景の違いによる温度差があることは否めない。そのような問題が顕在化する一つの例が立体駐車場であると考えられる。立体駐車場の計画にあたって主体的に関与するのは主に機械メーカーの技術者であって、建築設計者の関与は(申請等の業務はあるものの)あまり大きくない。機械式駐車場は比較的大きな規模を持つものであり(例えば当建物は高さ30m=9〜10階建てビル相当の高さである)、景観上のインパクトはそれなりに大きなものであるのに比して、都市景観への配慮が同規模のビルと同等に行われていることはほとんど無いと言えるだろう。前述の過渡的状況の中で機械メーカーの技術者に都市景観への配慮を求めることは不可能に近く、現時点においては立体駐車場の計画に建築設計者が主体的に関与するべきであると考える。そこで当建物では主に都市景観上の配慮を中心に計画を行った。具体的には機械本体部を深緑色とした上で、それを包むパンチングメタルによる透けた外皮を浅緑とすることで、立体的に色が重なり変化する「襲ね(かさね)」を実減している。またこのパンチングメタルの外皮はビルが立て込む周辺環境にアメニティーを与える為の緑化(ツタ)の足がかりとなっている。