小舟町ハウス
都心の狭小敷地に建つ3住戸のみの集合住宅
- Region
- 東京都
- Program
- 集合住宅
- Structure
- SRC造一部S造地上5階
- SiteArea
- 66.121m²
- BuiltArea
- 49.59m²
- FloorArea
- 224.92m²
- Completed
- 2004.3
- Publications
- 日経アーキテクチュア2004.9-6
Photo by Hiroyuki HIRAI
東京日本橋に建つ集合住宅。5階に1+2階のメゾネット、3階のフラット、4+5階のメゾネットという3住戸のみが入っている。一般的に、外観上集合住宅を特徴付けるのはバルコニーであるが、多くの場合それらのバルコニーは法規上から(避難階段の数の減免を受けるため)いわば必要悪としてついている。それらのバルコニーは外部空間としては貧弱であり、当然そこで時間を過ごしたいようなものではない。しかし当建物のような規模の建物の場合、その無駄な面積は大きな比率となって収支を圧迫する。事業採算上からも、バルコニーを設けるのであれば有効に(快適に)使える外部とするか、あるいは設けないかといったような思い切った検討が必要となる。当建物では避難バルコニーが法規上要求されない事から、法規上は外部と見なされないが有効に使える外部を挿入して利用度を高めている。具体的には外部仕様の床を持つバルコニー空間を通常のように部屋の外に部屋と平行に配置するのではなく、部屋を貫通するように設けた上で、両端に建具を設けて閉鎖も可能としている。これは、現代人には「生」の外部環境は厳しすぎて楽しむ事が出来ないことから、屋根のある外部とすることで屋外生活の豊かさを享受するようにするのと同時に、建具を閉める事で室内空間としても使え空間の利用度が上がる事を目的としている。
外部に取り付くルーバー状の部材はプライバシーを調整する機能の他に雨樋の機能も兼ねており、雨水をゆっくり流す働きをしている。降った雨を極力早く排水する構造を持った建築物が都市的に集約されると都市型水害のリスクが大きくなる事を鑑みて、建築の作り方を変える(小さな)提案である。