河原町プレイス
京都市街中心部に建つ集合住宅。
- Region
- 京都府
- Program
- 集合住宅
- Structure
- SRC+S造地上10階
- SiteArea
- 274.85m²
- BuiltArea
- 194.57m²
- FloorArea
- 1205.59m²
- Completed
- 2002.3
- Publications
-
DETAIL2003春号
日経アーキテクチュア2003.2-17
Photo by Hiroyuki HIRAI
近代における効率性を求めた地域ごとの機能分化(ゾーニング)によって街の多様性、ひいてはにぎわいがむしろ失われたという反省から、かつての職住近接といった生活のあり方が今日再評価されて来ている。さらに情報技術の発達等によるワークスタイルの変化などもあり、現代の都心居住の実態は住まう/働くの区別が希薄なものとなっている。にもかかわらず供給される空間は依然としてゾーニングを前提としたステレオタイプなものばかりである。そこで当建物は、いわば現代版の職住近接の為の空間とすることを目標として、広さ(ワンルーム専有33〜40㎡)、構造強度(TMDによる制震構造)や採光、通風(対面通風)、眺望(東山が一望)など基本的な性能は髙いレベルで確保した上で、それ以上なにも付け加えていない。このようにシンプルでベーシックなプラットフォームだけを提供することで、利用者それぞれの必要に応じてアレンジが加えられるようになっている。また上記のゾーンミックスの考えは外観にも反映されている。外観上、集合住宅を特徴付けるのはバルコニーであるが、当建物ではこのバルコニーをインナーバルコニーとし、一部バルコニー先端まで室内が張り出した部分と組み合わせることで、ガラスカーテンウォール形式のオフィスビルと集合住宅の記号的形態をミックスしたものとしている。
また当建物では高木による屋上庭園を設けている。これはセダムマット等の消極的な緑化ではなく、周辺のアメニティーにも寄与する積極的な緑化という意味合いと、高度利用が進む都心部において日本建築の特徴である庭との関係(伝統的には水平の関係)を敷衍して新しい(垂直の)庭と建築の作法をつくり出すことを目指すという意味がこめられている。