上京区のデイケアセンター
老人施設を「家」のようにつくる
- Region
- 京都府
- Program
- 福祉施設
- Structure
- RC造地上3階
- SiteArea
- 188.44m²
- BuiltArea
- 新築95.24²、既存13.54²
- FloorArea
- 187.75m²
- Completed
- 2000.6
- Publications
- 新建築2000.10、DETAIL2002.10、THE ARCHITECTURAL REVIEW 2003.10
Photo by Hiroyuki HIRAI
設計当時(2000年前後)デイサービス施設のかたちとして一般的であった「郊外」の「大型施設」に対する、カウンタープロポーザルとして、「利用者の住む地域」にある「住宅スケールの」施設とした。
デイサービス施設に限らず高齢者施設の利用者(=高齢者)の究極の目的は「普通の生活を取り戻す」ことにある。この事実と、多くの施設運営者のバックグラウンドである医療従事者の常識との間には大きなギャップがある(医療従事者にとっては病気を直すといういわば非常事態への取り組みが常の仕事であり「普通の生活を取り戻す」事の価値が理解しにくい)。このギャップにより多くの施設が(関係者の多大な知的貢献にも関わらず)真のステークホルダーである利用者にとってあまり快適ではない空間となっている。たしかに施設を計画する段階で「声をあげられる」人には、一般的に施設運営者しかいないし、最大限範囲を拡大したとしても介護を依頼する家族くらいまでしかいないのであって、そこに利用者のプレゼンスは無い。そのような構造の中では真のステークホルダーである利用者の声を代弁する事を関係者は常に配慮する事が必要である。
当建物は従来6つの建物が建っていた敷地の中で、1つの建物だけを建て替え、残りの建物との接続を整理することで新たな施設として機能するようにしたものである。大型施設が均質な空間を目指すのにたいして明るさや表面のテクスチャー等様々な次元で「むら」をつくり(場所性の確保)利用者が気分にあわせて色々なアクティビティーを好きな場で行えるようにしている。