四条木製ビル(第15長谷ビル)
地球環境/地域環境/都市環境という3つの次元の異なる「環境」の問題に対して応える「モデル」の形成を目指したオフィスビル
- Region
- 京都府
- Program
- 事務所ビル
- Structure
- S造地上9階
- SiteArea
- 410.15m²
- BuiltArea
- 353.45m²
- FloorArea
- 2,870.13m²
- Completed
- 2008.3
- Publications
- 日経BP2015.1、新建築2009.3、日経アーキテクチュア2008.12-8
- Awards
- 2009年京都デザイン賞大賞、2015建築設計学会賞
Photo by Hiroyuki HIRAI
建設プロセスにおける二酸化炭素の排出削減と炭素固定の双方を実現するため、また地域の林業振興、ひいては森林保全を実現するためには木材利用が有効であり、当建物では都市部において大きなボリュームを占める建築タイプであるオフィスビルにおける新たなモデルを作る事を目標として、木材使用量を増やすための方策を様々に講じている。
特に外壁に関しては従来使われてこなかった部位である事から(新しいマーケットの創出)使用量の増加が大幅に望める事や発信性を考えて採用に踏み切った。
また京都の(ひいては日本の中規模都市の)都市景観における問題の一つが中層建築物におけるモデルの不在であると考えて、当建物ではこの不在を埋めるモデルの形成を目指して設計を行った。その際には形態を記号的にとらえて操作するのではなく、木材という素材の性質を様々な方向から考慮してディテールを徹底的に「機能的に」つめることで結果としての形態を導く事を目指している。民家の形が「理由のある形」である事によって美しさを醸し出している様に必然性のある形を模索したものである。
また吹き抜けも自然換気の利用による空調負荷の削減に加えて都市のインキュベーション能力を引き出す機能を考慮して設ける等、中規模都市の都心における中低層高密度建築のあるべき姿を様々な局面で追求している。